仮想通貨の遺品は遺族にとって天使にも悪魔にも
「亡くなった旦那が仮想通貨をやっていたらしく、最近値上りしているので、調べて相続したい」(関東在住の女性、30代)
データ復旧会社・デジタルデータソリューションに届く仮想通貨関連の相談はここ半年間でおよそ50件で、遺品事案に限らず顕著に増加しているという。内容は、ブロッグチェーンの秘密キー忘れや、リップルトレードのまま移行を忘れたことによるパスワード失念など様々だ。
同じことを筆者が所属するデジタル遺品研究会ルクシーのメール相談でも感じている。国民生活センターと消費生活センターに届く仮想通貨絡みのトラブル相談も、2017年度には昨年度比3倍増の2666件となっており、世間の関心の高まりとリンクしているようだ。
仮想通貨は、デジタル遺品のなかでいま一番危ない
いわゆる“億り人”(仮想通貨で億単位の資産を所持している人)になった方が亡くなると、亡くなった時点での評価額で相続税が計算される可能性が高いといえます。
遺族が仮想通貨のことを知らないでいた場合は、突然数千万円単位の税が課せられる可能性があります。
さらに、家族が仮想通貨にアクセスできないとしたら最悪の事態になりかねません。
仮想通貨は、資金決済法が2017年6月に改正されるなどして、現在は相続税の対象とみなされるという見解が一般的になっている。
相続税は
1億円相当の仮想通貨を残して亡くなった“億り人”に3人の相続人がいた場合、
1億円-(3000万円+3×600万円)=5200万円が対象になる。
他の財産があればそれらが足されて対象額はさらに大きくなる。
やっかいなのは、価値の変動が激しいことと、非常に見つけにくいところにあります。
死亡時に1億円相当の価値があっても、1週間後に日本円に換金したときに相続税分以下に下がっているということもタイミングによってはありえる。
“億り人”の相続で大問題が発生したという事例はまだ聞かない。発生してもレアケースではあると思うが、そのレアケースの当事者にだけはならない(させない)ように。